2009-05-17

スラムドッグ$ミリオネア


★★★★★
喧噪なスラムの様子が臨場感たっぷりの映像で、スピード感に溢れていた。狭苦しい埃っぽい路地を走り抜けて行く。かと思えば、上空からの鳥瞰目線。トタンの屋根屋根屋根。

生きるってどういう事だろう、と序盤から終わりまで映像に釘付けになりながらも、ずうっと考えていた。
ほんまに、生きるってなんやろ。
食べる為に何でもして、生命を保つ。
生活の質とかそんなのじゃなくて、生きるっていうこと。
自分の助けたい、好きだと思う事や人を追い続ける事。
どんなに悪いことをする家族だって、懺悔をする姿を観たら信じる事。

色んな物事を知るという事はただ本を読むとかメディアで見るとか、そう言うのじゃなく体験すること。その人の知っている物事を辿ればその人の人生が見える、と言う単純なようで単純ではない、そんな一生をクイズ・ミリオネアを通して描いた凄さ。

エンディングでダンスを踊る子供時代のジャマールとラティカ。
現在では家すら失ってしまったのだと思うと切な過ぎる。

2009-04-07

猫語の教科書


★★★★☆
おそらく、猫好きにしか分からない面白さ。
そして怖さ。くわばらくわばら。
猫はカラスよりも知能指数が低いと言う動物学的裏付けが、すべて、すっかり、まるきり嘘だったのかも・・・と凹むくらいに凄い。本当に猫が書いたのではと思うくらいに良く出来ている。
きっとポール・ギャリコさんは本当に猫を愛してやまない方なんだなぁと敬意を払わずには居られません。
うちに帰って愛猫にゃらと戯れながら、すりすり来られると
「何が欲しいの?何企んでるの?」
と聞き返さずにはいられない。
毎日観察されているのではと言う恐怖・・・。

とは言いつつも、やっぱり一等可愛いうちの猫。
何を企んでいようが、悪知恵が働いていようが、そんなことやっぱりどうでもいい。
結局はそこに落ち着くんだわ。
LOVE ねこ。

2009-03-01

チェ39歳別れの手紙


★★★★☆
 「チェ28歳の革命」を観てこそ、引き立つ映画。チェ28歳での成功と団結力が39歳では失敗と裏切りに代わり、処刑に至る。あんな成功を築いたゲバラが・・・とキューバ革命での成功を回想する事でボリビアでの悲惨さが増す。特に処刑前にゲバラに浴びせられた言葉「お前はジャングルで・・・、フィデルは優雅にご昼食。」と言う台詞にハッとさせられた(台詞のゴロがよくてなんか気に入ってしまった)。
 28歳も39歳もドキュメンタリータッチにこだわって、ゲバラ以外の回りの情勢が不明瞭。なぜ、ボリビア人はゲバラ達をキューバ人のように受け入れられなかったのか。ボリビア政府軍の介入はどのようなものだったのか。そしてボリビアへ向かう前に変装して自宅を訪れた場面の分かり難さ。結局はゲバラマニアにしか分かり得ない仕上がりになってしまっている。
 ソダーバーグ監督のゲバラへの熱い思いは伝わるが、2本共観ても宣伝と監督の名前に押されてロードショウと化した単館系映画と言わざるを得ない気がするのでした。

2009-02-06

前髪。


 毎夜毎夜、気持ちの悪いお写真をすみませぬ。
 女と云ふものは中々に些か厄介なものであります。厄介なのはお前だけ、と茶碗や石ころなどが飛んできそうですが。些かどころか手に負えない程と罵声が飛んできそうですが。それは屈んで、耳を塞いで、さっと躱す。それがきっと女と云ふ生き物なんです。
 毅然と毎日を生きているようでも、時折ふと何かの拍子に乙女になりたい、ともの凄い衝動が生まれて、その衝動がムクムクと大きくなり、脳の中の70%位を占拠した時。そんな時にはどうするか。そう・・・前髪を切りまする。15センチメートルをバッサリとカット。
 翌朝、あ〜切りすぎた。と嘆いてみたところでもうどうにもならない始末。ここ暫くは前髪の無い生活を送っていたので、いざこんなにも短い前髪を鏡に映したところで、どうセットして良いものかさっぱりと分からない。皆目不明。


 そうして先日午前のテレビショッピングを拝見していたところ、カリスマ美容師サカマキ氏が登場。氏が紹介した商品とは、ヘアコサージュ前髪ウイッグなるもの。嗚呼、なんと言うタイミング。一時的な根拠の無い感情でバッサリと切りそろえるなんていう失態を冒すべきではなかった。元の長さに戻るまでには1年位もかかるこでしょう。

 あなたの前にちょこんと鎮座しているその女性。前髪があるならきっと少女でありたいと願っていらっしゃいますことよ。
 

2009-02-05

ラースと、その彼女


★★★★★
 なんとも、良い映画を観たなぁと言う気分でいっぱい。幸せな気持ちで胸が満たされた。
 過去のトラウマから女性と上手く接する事が出来ないラース。ある日突然リアルドールのビアンカを恋人として紹介するラースだが、これまでの彼の人柄の良さから困惑しながらも町の人々はビアンカを独りの女性として接する。
 純粋に人間の善良な部分のみを信じて作られたこの作品。ラースがどのような窮地に追い込まれて行くのかと最後までハラハラとする気持ちもあったが、善良さを押し付ける事無くこんなにも素直に受け入れられたのは、人々の戸惑う姿や怒りも描き込まれていたからなのだろう。
 誰にだって欠点はある。人に話せないトラウマだって。でも自分が人と真っすぐに接していればきっと手は差し伸べられる。そう信じたいしそうあって欲しい。ストレスの多い社会生活や複雑な家庭環境の中で歪んだ精神状態を保持して生きなければならない人も増えている。そんな人々への接し方に対する強いメッセージとも受け取れたこの作品。向かい合って受け入れる事が如何に大切なのかを教えてくれた。
 ラース役のライアン・ゴズリング、ラースの兄ガス役のポール・シュナイダー、ガスの妻カリン役のエミリー・モーティマーらを始め脇役達の演技も素晴らしい。
 そして雪深い自然豊かな風景にマッチしたシンプルで可愛らしい衣装がとても素敵。
「ラースと、その彼女」ホームページ