2009-01-25

1.5cm四方の疼き。


※グロいのが苦手な方はご用心。
「はい、もう抜けましたよ〜。」
 殺風景な処置室にドクターの穏やかな声が響き渡った。抜けるその瞬間をこのマナコでしかと見届けようと心に決めていたのに、追加される麻酔に次第に気分を害され断念。
 色とりどりの雑誌の前に置かれた写真の中のそれは長年連れ添った私の左足拇の爪。いつの頃からかナウシカに出てくるオウムの様に変化してしまい、夏もうかうかとサンダルを履けないような体たらく。廃り行く女街道まっしぐらにピリオドを打つべく、この度抜去致しました。さよなら、オウム。そして、こんにちは。今は未だ無き新しい爪よ。
 帰宅途中じわじわと麻酔の魔法は解け、半泣きで足を引きずりながら帰宅。痛みに耐えながらも夕食を摂取。生きる為には食べなければならないのである。そして泣きながら茶碗を洗う。泣きながら不意に【なんで体の末端、1,5cm四方のものの為にこんなに涙が出てくるのか】と言う事が頭をよぎり、無性に笑けて来た。そして泣きながら笑いながらフライパンを洗う。2枚洗う。
 
 それにしても、クリニックの問診票に記入した『爪』という漢字がすべて『瓜』になってしまっていた事が気になる。夜中に進入して書き直したい。