2009-10-17

潮騒


★★★★★
どうしてこんなにも引き込まれるのだろう。
安夫と初江。
結ばれるのは分かっているのに、二人の行方が他人事ではないように感じられ、気になって仕方がなかった。
これも氏の計算しつくされた筋書きなのだろうか。

田舎の漁師町の素朴で純粋な人々の心が、とても新鮮で温かくて、羨ましい。

結末の二人の些細な気持ちの相違が、今後の二人の行く末を暗示しているのだろう。
ハレタホレタと一筋縄では行かない。
人生とはそう言うもの。
最後の一文を読んで鳥肌がたった。
この一文の為に書かれた作品なのかもしれないと、怖くもなった。
天才的。